LLAVES LANCES Y OTOROS CASTIGOS ハードカバー版

■SIZE:278×215×15 (mm)
■164 ページ

■解説■

 本書の名称は『ジャーベス・ランセス・イ・オートロス・カスティーゴス』。直訳するならば「極め技、投げ技、他の拷問技」という感じか。つまりルチャ・リブレの技本。ルチャ・リブレ84周年を記念した豪華写真集である。撮影者はアルトゥーロ・オルテガ・ナバレッテ氏で、2000年4月に亡くなっている。アルトゥーロは『クリンチ』『ボクス・イ・ルチャ』『プンチ』などのプロレスとボクシングの専門誌で長くカメラマンを務め、他に『デポルテ・イルストラド』などの写真誌にも作品を載せたカメラマンである。

 彼は50年代〜80年代のルチャ・リブレ黄金時代をアレナ・メヒコ、アレナ・コリセオ、エル・トレオに毎週足を運び、激写し続けた名カメラマンだ。私も70年代後半から80年代にかけて、よくアレナ・メヒコやコリセオでアルトゥーロと顔を合わせて挨拶を交わした。温厚で人懐っこい人柄のおじさんだった。1本のフィルムが高価だった時代にアルトゥーロは1ショットずつを大事に撮った。だから、彼の作品には長く語り継がれる名作が多い。そのアルトゥーロの貴重な写真を「技」というテーマでまとめたのが今回発行された本書である。

今回は「130枚以上の写真」というキャッチフレーズだが、実際に数えてみると147種類の技が収録されていた。そして、その1枚1枚の写真に技の解説と、撮影日時と対戦者名が記されているのが素晴らしい。歴史的なショットの日時が明記されているのは記録的な価値にも繋がる。編集には最強マニアのクリスチャン・シメット弁護士も協力したという。何年か前にメキシコでオールカラーの技の本が出版されたが、最近の写真ばかりで、私的にはピンと来なかった。私もかつてゴングで技の本を編集したことがあるが、やはり、その技の創始者たちが掛けている写真を使うのがベストだと思う。その点、50年代からルチャを撮り続けてきたアルトゥーロだからこそ、オリジナル殺法の写真が多々使用されている。それも黄金期のエストレージャたちが次々に登場するのが嬉しいではないか。

ルチャ・リブレ=マスク=空中殺法と勘違いしているファンたちが多い昨今、メキシコこそルチャ84年の歴史の中で多くのジャーベやランセを生み出してきた素晴らしきプロレス技術大国であることを再認識してもらいたい。我こそルチャ・リブレのマニアを自称する人に、サブミッションに興味のある人に、ルチャ特有のムーヴに魅せられた人に、ひたすらプロレス技を研究したい人に、メキシコのレジェンドたちに興味のある人に…この本は永久保存版としてゲットしてもらいたい。

(文:ドクトル・ルチャ/清水勉)
型番 MAGO-012
販売価格 7,700円(税700円)
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